千年

倉田良成



雨があがると 光のつぶてで街は斑になる 上気するプラタナスの葉の影に 淡い血液を積んで自転車が走る 千年も続く毎日 鳥の声のしたたる公園を抜け 子供たちのやわらかな恐怖とすれ違いながら 一箱の煙草を買いに行く 読みさしの朝刊を部屋に置いたまま ある日 私は帰らない

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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