生命

藤林靖晃



樹が揺れて、眼が落ちた。 花が目覚め、山を生んだ。 呟きが炸裂し、肉体を脹らませた。 見よ。この屹立した四肢を。 燃える。 萌える、人々。 夏の海に雪が降る。 地球が割れた。 人々は大笑する。 私は笑い、そして、仮眠する。 夢の中の中の中。 私は太陽の上を走る。 夏。そうだ、夏。そうだろう、夏。 五角形の家が宙を飛んだ。 私は全裸で草原を走る。 涼しいざわめき。 雨の中で人々が叫んだ。 我々は生きたいのだ、と。 声。 誰の声か。 不可思議な音が…。 何? 創世の音だって? 到来した路上。 足が土の上で溶ける。 ? ! 君ハ生キテイルノカイ。 ピカソが蘇生した。 全くの静寂。 何という心地良さだ。 私はニトロを胸に秘めて歩く。 何時死ンデモイイ。 海の上で再生を待った。 塩水が、塩水が、喉を潤してくれる。 人々は永久に歌い続ける。 民衆のモノローグだ。 さあ、走ろう。 一瞬の旅へ向かって。

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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