虚構

園下勘治



ローマの休日を観て思った 昔のスターは目の中に星がある 古い少女マンガの虚構だと思っていた あれは嘘っぱちさ、と今ではみんな まるで妖精のように あれは嘘っぱちさと今ではみんな 夢の中の夢こそが 忘れ去られた現実だなんて いったい誰が教えてくれただろう 夢の残像ばかりを追いかけて もう何も見ない目に星はなく セピア色の頭蓋の奥の空間へ 死んだ人が死んでいない 生きている人が死んでいる

(連作・死のレッスン 4)


[ホームページ(清水)] [ホームページ(長尾)] [編集室/雑記帳]
エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
[No.13目次] [前頁(躊躇(ためらい))] [次頁(廃家のカマにある内紛の火種のイメージへ)]
mail: shimirin@kt.rim.or.jp error report: nyagao@longtail.co.jp