眠い

長尾高弘



朝起きて ごはんを食べたら もう眠い かばんに引きずられて外には出たが 石にけつまずいて たたらを踏んだ 電車に乗って 1人分の席を確保すると ああ眠い とてつもなく眠い そのまま意識がなくなり 気がつくと電車は目的地よりも1つ先 かばんをつかんで慌てて下りたときに 笑いやがったな おれの前に立っていた女よ いびきでもかいていたのかもしれないが この間お前とは別の女が おれの前で薄目を開けて舟を漕ぎながら 鼻ちょうちんを膨らませていたときには おれはそっと視線を外してやったのだぞ お前とは関係ないけど そしておれは階段でまたもけつまずいたのだ

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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