最初は一人だった
手の指は十本
足の指も十本
たったそれだけだったから
不安だった
自分で決めたことだが
いつまでも同じところに一人で立っているのは
辛かった
それでも時がたつにつれて
手には葉がつき
足からは根がのびた
そしてある日
二人になっていることに気付いた
話しかけはしなかったが
一人ではないと思うとうれしかった
手の指は二十本
足の指も二十本
二十本に葉がしげり
二十本から根が広がった
今はたぶん五人くらいになっている
話しかけはしないが
一人ではないということを
いつも感じていられる
こういうのを満足していると
いうのだろうか
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