矢印

清水鱗造



誘惑に 水しぶきに 毛脛の虫に 土管のなかの細い魚に (なんかわかんなくなっちゃった) びゅーんとね べたべたのをチューブから出して 塗る せいぜいが せいぜいの 平たい町並みの 巨きいトンボが 平たく張りついて 舗道に模様もできるし 身の丈の薩摩揚げ の その薩摩揚げ が 私を好む それで 身の丈の ふうに振る舞うのが 恥ずかしがり屋の 女 買い でも きっと 現われる ちがいない 角々に 汚れた金襴緞子が ホームレスになったので 電信柱によく似合う そんな凧揚げの日 曇天で 自転車で踏切を渡ると 電車の窓から コーヒー売りが 顔を出していたもんだ そのころ 犬の概念について 考えていたんだが しょせん尻尾だろ 尻尾を剃っても だめだし 近視は進むばかりで 一週休んで ティッシュで拭いて 膨満感があって 煙草 一服 単にビタミンの話 時に齢むにゃむにゃ 陽炎にひょろひょろと 黄色い人が いつもの服着て 障子に穴開けて 覗いて 見たのが 例の杓文字だった ケツ語としては 黄門が えらい物持ちで なんか私の下水道を 透視して 紐を引っ張っている

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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