窓辺について

夏際敏生



顔を染めて同席している ブラインドの透きから 意匠を懲らす横殴りの雨 花が裂いている花瓶 図体を挙げて悪びれろ みだりに黙ってきたものに 立ち居はいくども見過ごされる 窓際に漂う、fracto stratus 陸(ろく)すっぽ在りもしない陸のカッパ 父の流れない食卓 テラスに紙々の吹雪が黄昏れている 器物は木霊する その辺りを払って 目も月も梢に据わっていく ぬかるんでいる人道をもう一度 山道から黄道へ折れて 躱された微笑は位置づけられる フロアが数える流星を遡り 等身へと砕かれていく音楽を尋ねよ 片腕まくりで人類の裾まつり

[ホームページ(清水)] [ホームページ(長尾)] [編集室/雑記帳]
エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
[No.23目次] [前頁(曖昧模湖のネッシー)] [次頁(Love Songs――採集*)]
mail: shimirin@kt.rim.or.jp error report: nyagao@longtail.co.jp