領土

jaja



あ 扁平足 の たいらな あしうら が とらえる すなはま すなはま すなはま と 数歩 あるいた ところへ 稜線 を 描く 波 波 の 稜線はみるまに記憶の領域にとんでって等高線が 人のからだをおおきくはみだして敷延するこころの土地に 地図となって刻まれる。 寝小便のあとみたいに * 死んでしまった人が にっこりと くっきりと 立っている あかるいその 場所と 匂いのしないあなたが ぬけぬけと 窮屈そうに 座っている くらいその 場所とは 細い隧道を通じてつながっている。 どこへいっても匂いだらけで息が詰まりそうなのに あなただけは匂いをかがせてくれないんだね * 暗闇のなかの少年たち きみたちの顔はまめつぶみたいでよく見分けがつかないよ。 誰もみな上を向いて‘love’という四文字言葉をつぶやいている 上を向いて 月を追っている。 みかづきはあっというまに半月に そして12 13 14 とふとってくる。ふくらんでいく のが恐ろしい。月はもう 今夜は17夜 ときどき下を向いてなみだを振り捨てながら歩く。 ちいさくて ちいさくて * 山ぜんたいを白いテープでぐるぐるまきにする。 テープの面をつたって女が滑降してくる。 妻の戦意は喪失された。 余裕綽綽 矍鑠 モノクロームきらきらひかる夢 * ひっくりかえってバンザイしている風呂敷がある(もうお手上げ) 右上向いて片腕突き出しているチェロがある(ぺニスみたいに) 顔はない。女の姿はシルエットか 抽象画の線でしかない。 炎はとなりに飛び火し 象の目はそのまた隣に強いて感じられた。 英語でできたキャッチフレーズは斜向かいに口移される。 闇を基調にした白黒ばかりを選びだす ふわふわ飛びかうふうせんだけがカラーフィルムここには実感がない。 ユメの領域にとどまっている * おしだされ おしだされぬ ゴリラの密告に 狭い 細い くるしい 路地の はちきれんことよ * こんなん でんねん ですねん でっねん でふねん でんねん そや そや * ねずみる くじる さくらる うまべる * これでおしまい!を宣告するのがとりわけ下手で にゅめるくりんめりめりなどとくちごもり このうへなくやはやはなる 終わってる 終わってる ずっと前から終わってる の 父のコトバと まだまだずるずるべたばた続くんだからあっての まじまじむかつく 母のコトバとの ま に立って きょうの授業はこれでおしまい ことしの授業はこれでおしまい わたしの授業はこれでおしまい で、またあいましょうねをつけくわえるんだから世話ない * 闇のなかの子供たちよ 怖がる終わりはないのかもしれない とっくに終わってんのかもしんない 変容と周期に老いる 足跡の 領土に スペインの楼閣をなぞって 接吻する 悲愁

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
[No.23目次] [前頁(Love Songs――採集*)] [次頁(GEORGEの胸ポケット)]
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