レンガの家ならへっちゃらさ

丁田杵子



 ひるまおうちにいたときにたずねていらしたおきゃくさま、ドアもあけずにつっけんどんにおいはらってごめんなさい、きっとあなたもおしごとだったのですね、はんせいしてます。
 こんどおいでになるときは、ピンポンピンポンにぎやかにチャイムをおしたりなさらずに、「あけておくれ、おかあさんだよ」と、7ひきのこやぎをねらったおおかみさんのように、うっとりするようなこわいろをつかわれてはいかがでしょう。
 しっそなアパートでございますから、こぶた3きょうだいのうえのにいさんのワラのおうちみたいに「こんなうち、ぴゅーぴゅーぴゅーだ」と、ふきとばしてしまわれるのもかっこいいかもしれません。
 だけど、わたしはとっくにいたいけなこやぎでも、おちゃめなこぶたでもありませんので、あかずきんちゃんのおばあちゃんみたいに、おきゃくさまはれいぎただしくおむかえして、ぱくりとたべられてしまわないとかわいげないかもしれませんので、やっぱりはんせいします。このとしごろは、いろいろやりにくいのです。

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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