平和


たまの休みの日曜日 日当たりの良いベランダに出て 関節に油をさしたり 皮膚にヤスリをかけたり する人々がいた 身体の手入れを怠ると バスで街中に運ばれて 排水溝に捨てられるのだ 彼らも好きでやっている 訳ではなかった しばし手を休めて 彼らは思い出した 地面に手を突っこんで 地面を真二つに 引き裂こうとした時のことを わずかにできた裂け目は 広がらず 逆に地面にしめつけられた手を ようやっとの思いで 引き抜いたのであった やがて夕立が降る 彼らは大喜びでベランダから飛び出し 雨の中 裸で踊る 背中から尻の穴にかけて 雨水がすごい勢いで 流れるのを感じながら たまの休みの日曜日 は暮れていった


(C) Copyright, 1995 NAGAO, Takahiro
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