九月


九月の夕べ 空は胡麻塩頭 私は鍵をぶらさげて 女に会いにゆく 空っぽの下宿で カセットテープがまわっている 去年の秋 西大寺の前のあぜ道で 女となめていたアイスキャンデーが ぽたりぽたりとたれて おろしたてのズボンがよごれた そのズボンも 今はのびててかてか光っている 魚屋から吹いてくる風 タバコを排水溝に投げ捨てて 風呂屋に入る 新聞紙で尻をふいたから 記事が湯の中に プカリプカリと浮き上がってくる


(C) Copyright, 1995 NAGAO, Takahiro
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