1 イントロダクション |
仰々しいタイトルで始めたが(註: 最初は“東山田紀行”と言っていた。何回か続けたあと、やっぱり恥ずかしいので“東山田散歩”にした)、何のことはない、東山田というのは私が住んでいるところである。山田はやまだではなく、やまたと濁らずに読む。横浜市の都筑区というところに属している。7年前に引っ越してくるまでは、横浜市内に山田などという田舎臭い地名があるとは知らなかった。しかし、地図を見てみると、この辺には田んぼの付く地名が多い。山田のほかに高田、下田、勝田(かちだ)、新田(にった)、新吉田といったものがある。確かに、これらの地名が付いているところには農村風景が少し残っているが、田んぼは見かけない。野菜、花卉、園芸といった畑ばかりである。昔は田んぼだったのだろうか。
以前、詩にも書いたが(『縁起でもない』所収「人から聞いた話」)、引っ越してきてから5年間、私はここから都内の事務所まで通勤していた。車は食料品を買うために使わなければならないし、事務所には駐車場などなかったので、電車とバスで通勤しなければならないが、駅までのバスは1、2時間に1本しかない。そのため、行きも帰りもバスの時間を気にしてバスの時間に合わせて生活しなければならなかった。たまさかバスの時刻表が改訂されたりすると、突然バスの走る時間が30分ほどずれたりして迷惑なことこの上なかった。会社は始業時刻、終業時刻で従業員を縛ったりはしていなかったのだが、私はバスに縛られていた。2年前に会社を辞めて家で仕事をするようになったので、ようやくバスの時間から解放された。詩のなかでは満員電車から解放されたことだけを書いたが、バスの時間からの解放も大きかったのである。 しかし、家のなかで仕事をしていると、とかく運動不足になりがちである。髪は減る一方だが、体重は着実に増えてきた。そこで万歩計(ポケットピカチュウという子供のオモチャである)を買い込んで、せっせと歩くことにした。以前からタバコを買うにもちょっと遠くの店まで行くようにしていたが、その程度では万歩計は1万歩を越えない。そこで、ここ数日はちょっと寄り道をするようになった。寄り道をしても万歩計はなかなか1万歩を越えないが、近所でも通ったことのない道がいくつもあることがわかった。車で通る道はどうしても限られてくるし、歩く場合でも、今までは店やバス停といった決まった場所と家の間を往復するだけだったので、通っていない道がいくつもあるのは当然なのである。しかし、そのような道を通ると、自分にとっては思いがけない風景が転がっていたりして意外と面白い。そこで、ポケットピカチュウと前後して買ったデジカメでそれら近所の風景を撮り始めた。写真を撮ってみた以上、誰かに見てほしい。そこで、これが詩かどうかはわからないが、この場で見ていただこうというわけです(註: 最初はHPの“詩的日乗”というコーナーに掲載した)。つまらなかったらごめんなさい。今日は前口上と写真2枚のみ。写真をクリックすると、超巨大な写真(1280×960)を含むページが表示されます。 (参考地図: 画面中央が写真1-2の撮影位置) 99/1/14 |