記憶に残る幻想
天使には正気を失うような苦痛に見えるのだろうが、地獄の火のなかで私は精霊の楽しみと歓びに満たされていた。そして、そのなかを歩きながら、私は地獄の箴言を集めた。言葉が民族の特徴をよくあらわすことを考えれば、それらは衣装や建物を説明するよりも地獄の知恵の性質をよく解き明かすはずだ。
現世、すなわち鋭い断崖に閉ざされた五感の淵底の世界に還ってきたとき、私は黒雲に包まれた強力な悪魔が、断崖の傍らを漂いつつ、腐食の火で次のような文字を書き付けたのを見た。今や地上の者たちもこの文字を認め、読むことができる。
五感に閉ざされたお前たちに、空を切って飛ぶ一羽一羽の鳥が歓びに満ちた広大な宇宙であることがどうしてわかろうか?
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