鳥籠

田中宏輔



引っ越してきたばっかりなのに、 ほら、ここは、神さまの家に近いでしょ。 さっき、神さまが訪ねてきたのよ。 終末がどうのこうのって、うるさかったわ。 だから、持ってた布団叩きで、頭を叩いてやったの。 でも、まだ終末がどうのこうのってうるさくいうから、 台所から、包丁もってきて、ガッ、 ゴトンッて、首を落としてやったの。 まっ、首から下は、返してあげたけどね。 はいはいしながら、帰っていったわ。 首は鳥籠に入れて、部屋に置いてあるのよ。 お父さんの首の隣に吊るしてあるの。 お化粧したり、飾りをつけたりしたら、 けっこう、いいインテリアになるわよ。 えっ、また、うるさくしたらって? 大丈夫よ。 お父さんのように、火のついた棒で脅かしておいたから。 それにしても、わたしの終末なんて、 そんなもの、どうしようと、わたしの勝手よねえ。

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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