回復

園下勘治



重力は魂をつなぎとめる だから地球上の生きものはみんな 万物を落ちるに任せている 夏の満月の夜の寂しさは この世に理由を持ってはいない 通信がこんなとき わずか頭にそそぐのだ 私たちが重力の檻を脱したら どんなメッセージが伝えられるのか あの悩みこの苦しみ、みんな 種族の輪廻が決めたこと 町で一番高い朝の木が 最初の輝きに満たされるとき 私たちはもう回復期にあると思う

(連作・死のレッスン 5)


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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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