あたたかく膨らんだ土地に入ってゆく
私は私の肉親達と畦道を歩いた
「インディアンサマーだよ。今日は。」
娘は頭に帽子をかむっている
私と血を同じくする母と父と弟と娘
彼等は手をかざして石のまるみに消えてゆく
列をなした他者も過ぎる。野菊のあとだ。
石のまるみから鬼をかかえて
父と母が出てきた
私は伝板蓋宮(いたぶきのみや)跡で二人を待っている
鬼の首をまわせ、まわせ、
まわせ、
私は足を踏み鳴らし
娘は足をつっぱり
弟は声を出さずに古代ビトの大声を真似た
父と母は、前より老いて
石の傍でうずくまっている
土の矩形さえしてきた
二人は手で確かめて
柿の葉でくるんだ御飯を喰べだした
茄子、コンニャク、やまとイモ、牛蒡
ゆっくり陽をたくわえ
われわれ家族は膨らんでいった
生けるモノよ
生けるモノよ
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