網膜の光を九九で解き眼孔の闇をゼロの地点にさそう

沢孝子



すぐに眼孔をのぞいてしまうのは 変化してきた網膜の 一瞬に心 を対比させて 生きてきた大和化の姿といってよいだろう プラス になっているかやと 水花がなしが問うている さまざまなくらし の掛け算があり 真正面の線上に 尻上がりにふくらんでいった水 花 踊る季節は 張りめぐらされた執念の式があり 九九で解いて いく 網膜の光がやってくる マイナスになっているよと 凍木そ うりょが答えている たのしいらくがきの割り算があり 虹のかけ 橋に尻下がりにたおれていった凍木 狂う季節は 弾きだされた情 念の式があり ゼロの地点にさそう 眼孔の闇がやってくる 困惑 している洗い骨のいのりの 光と闇の対比 変化する式には 動脈 硬化をおこす心のすみずみ 数字遊びでにらみながら  水花がなしと 凍木そうりょの プラスとマイナスのなぞなぞを  つつむ とにかく動脈硬化をおこすほどに 変化している眼孔の闇がある  切り捨てる割り算の 季節ごとのたのしいらくがきも 虹のかけ橋 の空白を埋めることはできない マイナスになっているよと 答え ていた凍木そうりょに 頬ずりしていた 尻下がりのたおれていっ た狂い その情念の式を ぴたりと止めた洗い骨のいのりに 拡大 されたのは ゼロの地点にさそう暗算の 死んでいる凍木の世界だ った またそれらと 対比している網膜の光がある 素早い掛け算 の 季節ごとのさまざまなくらしが 真正面の線上にこぼれおちる プラスになっているかやと 問うていた水花がなしは どくとくな 匂いをはなつ 尻上がりにふくらんでいった踊り その執念の式で くっついて生きてきて大和化の 離れられないだらしなさ 九九で 解いていく統計は 病んでいる水花の宇宙だった 眼孔の闇の死と 網膜の光の病の対比は いつ頃からか思いだせないが 凍木の暗算 と 水花の統計という 数字遊びの対比を笑いながら  凍木そうりょと 水花がなしの 切り捨てる割り算と素早い掛け  算にもえるなぞなぞ たしかに生きてきた大和化の宇宙 網膜の光には 病んでいった目 の星の告白がある ほうら むこうをみてごらん 真正面の線上に こぼれおちた 色もない淋しげな水花を その踊りは プラスにな っているかやと 問うている水花がなしの 生きてきた大和化で  構築していったさまざまなくらし ここだけと念願する素早い掛け 算の 病んでいった目の星のだらしなさ 尻上がりにふくれあがっ てしがみついた執念の式の 統計の告白を 九九で解いていく ま た洗い骨のいのりの世界 眼孔の闇には 死んでいた目の玉の遺言 がある ほうら とらえてみてごらん 虹のかけ橋の空白に埋めら れた 拒否しつづける鎮座の凍木を その狂いは マイナスになっ ているよと 答えている凍木そうりょ 洗い骨のいのりで 舞台化 していったたのしいらくがきの いまもなおもつ威厳を切り捨てる 割り算 死んでいった目の玉の描写で 尻下がりにたおれていった 拡大される情念の式は 暗算の遺言を ゼロの地点にさそう 色も ない淋しげな水花と 拒否しつづける鎮座の凍木を 対比する無縁 な数字遊びで 一瞬の心を きっと  水花がなしと 凍木そうりょのなぞなぞ 統計の告白と暗算の遺  言に透きとおる

(改稿)


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