まずしいぼくの生活

布村浩一



まずしいぼくの生活は 夏の大きな空の下で うすい青色の点滴のもとで 歩行する 宙づりの家まで歩行する チラッチラッチラッと星が落ちる 空とぼくは切り離されて ぼくの歩行は ただ行き当たりばったりの 最初の入り口や二番目の入り口に当たっては向きを変える 折れた紙のようなもの まか不思議なことを考えていないとすれば ぼくの体は何も持っていない手ぶらで みえるものに何んの意味もつけくわえることのできない 生活で 空から切り離された遠くにある小さな帽子で 今まか不思議なことも考えないようにして喫茶店に急いでいる 小さい ゴミのようなもんさ ゴムがはねる 身体に傷をつけてきただけであって 秘密から遠ざかるために 急いで部屋から出てきた 空から急降下する 鳥の汗が ぼくの右腕にあたる

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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