片根伊六
ハドリアヌスは ニッチに腰掛けていた 懐かしそうに 石の硬さを確かめていた 僕と彼と どっちの方が寂しいだろうか? 僕らは一言も喋らなかったが たしかに ふたりとも 球体の中にいた ※「球体」からの三篇は、パンテオンという、古代ローマ建築についての詩です。 ドーム屋根の頂点に穴が開けられていて、光が円柱のように差し込みます。 ※ハドリアヌスという人は、パンテオンを創らせた皇帝です。