物色

夏際敏生



きょうマツダが死んだ もしかしたら昨日だったかもしれないが…… なにはともあれ霞町でパンを買って うつらうつら車を走らせる 片耳は切って捨てる たとえばそんな経緯で ガードレールを労えれば フィラメントも通りに置かれる なにしろ盲唖では鳴らした 口幅ったい顔をいくつも渡った 十八番は機械的キョトン 好きな色は好色、物色、警戒色、 好きな曲なら遁走曲 女たちは涼風のような裸体をもてあまさない 息だけは次々に引き取っていく それがどうあろうと人生は美しい このフレーズを教えてくれた中学教師が NHKに転身の後は消息が不明のままである 余計なお世話さま わたしたちはかつてない安全に瀕している わたしたちは祖先を省みていない ハーゲンダッツ出したりしないもの ということであとは裏面を見てください 紙幅を肥やすことにもとりたてて異議はない バカ丁寧語は電話口からオモテへ出ろ! ところで、もう片方の耳は食うんだったっけ? どの道悪はもう気取られることさえない 善のハキ溜めにカラスが茂るばかり

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エキスパンドブック版  [98/4/6 朗読会]
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