分水嶺



あれ以来、 「歩いているだけで骨折する危険のある人」 になっちゃったわけよ。 今はまだ 歩くだけで肩がめちゃくちゃ痛いから、 ふらふら出歩きたいとは思わないけどさ、 もうあれ以前のように、 何も考えずに 外に行きたいから行く、 というわけにはいかないんだよね。 最低限、怪我をしないように 注意をしないといけないわけよ。 それにさ、 怪我が治るまでは、 転んだときに身体を守れる手が 一本しかないんだよね。 面倒なことになったもんだなあ。 大げさに言うとさ、 あれ以来、 生きる条件が変わっちゃったわけ。 でさ、 こんなちっぽけな個人でもそうなんだから 壊れるはずがないとされていた 「あれ」 あそこのは使わないことがようやく決まったけど、 あそこのものではないからと言って、 「あれ」 をもう一度動かすなんて、 普通はありえねえだろ。 いい加減にしろよ。


(C) Copyright, 2000-2017 NAGAO, Takahiro
|ホームページ||詩|
|目次||前頁(分水嶺)||次頁(刺青のような)|