@句

January 0111997

 利根川に引火するごと初茜

                           黒沢 清

茜は、初日の昇る直前の赤くなった東の空の色のこと。その茜色が、利根川の流れに引火しそうに鮮やかだというのである。元日の句にはおさまりかえった人事的なものが多いなかで、この句は荒々しい自然の息吹きを見事にとらえていて、出色である。多摩川でもなければ隅田川でもない。利根川の、いわば「生理」を描いているのだ。今年の元朝の利根川も、こんな様子だったのだろうか。(清水哲男)




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