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September 0892000

 手拭に桔梗をしほれ水の色

                           大高源五

古屋から出ている俳誌「耕」(加藤耕子主宰)をご恵贈いただいた。なかに、木内美恵子「赤穂義士・大高源五の俳句の世界」が連載されていて、飛びついて読んだ。源五が俳人(俳号・子葉)であり、其角と親しかったのは知っていたが、きちんと読んだことはない。掲句は、木内さんが九月号に紹介されている句で、一読、賛嘆した。詠んだ土地は、江戸から赤穂への途次に宿泊した見付の宿(現・静岡県磐田市)だと、これは源五が書いている。残暑の候。そこに「丸池」という美しい池があり、源五は首に巻いていた「手拭」を水に浸した。池辺には、桔梗の花(と、これは私の想像)。「しほれ」は「しぼれ(絞れ)」である。句は、桔梗を写す水に浸した真っ白い手拭いを絞るときに、桔梗の花のような色彩の「水の色」よ、出でよと念じている。念じているというよりも、桔梗色の水が絞り出されて当然という感覚だ。「桔梗をしほれ」とは、そう簡単には出てこない表現だろう。本当に、桔梗の花を両手で絞るかの思いと勢いがある。源五がよほど俳句を修練していたことがうかがえるし、その前に、動かしがたい天賦の才を感じる。其角とウマが合ったのも、わかる気がする。赤穂浪士切腹に際して、其角が次の句を残したのは有名だ。「うぐひすに此芥子酢はなみだかな」。源五を生かしておきたかった。(清水哲男)




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