vロエ~句

January 2712009

 パー出した人の集まり冬日向

                           久保エミ

ループをおおまかにふたつに分けるときに採用するグーパーじゃんけん。各地にさまざまな種類があるようだが、だいたいは「グッとパッ」や「グーパーじゃん」など、安易な掛け声を伴い、グーとパーだけが使われる。あっちとこっちに分かれた組が、たまたま日向と日陰に移動した。何の根拠もないけれど、二択を選ぶときそれぞれの形から性格を反映するものだとすると、パーを出す人は明朗活発、グーを出す人は努力家というように思えてこないだろうか。そしておそらくパーを出す明るい人たちがぞろぞろと日向を陣取り、きゃっきゃと声をあげている様子が掲句から伝わってくる。輪郭のぼんやりした冬の日差しのなかで、思いがけず分割されたグループの明暗が、しかし全てに通じているようでなんだか可笑しい。そして、こういう句を出すひとはやっぱりパーを出す人なのだろうなぁ、などと深く納得するのである。わたしはといえば、最初にチョキを出す癖があるらしく、グーパーじゃんけんでも必ずチョキを出してしまい、「あーあ、もう一回」と仕切り直しをされるのだった。「船団第77号」所載。(土肥あき子)




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