IJl句

November 13112009

 大枯野拾へば動く腕時計

                           蜂谷一人

谷一人(はちやはつと)さんの句画展で展示されていた作品。捨てられていた時計を拾うと秒針が動きだした。枯野と腕時計、この大小の対象だけでもひとつの情趣はあるのだが、作者は形の対照とバランスに動きを入れて焦点を転換し生命感を象徴させた。「動く」があるためにこの句は人間の存在の確かさを描き出している。何々すればという条件を述べるのは俳句では成功しがたいと言われている。この句はその定説に挑戦している面もある。(今井 聖)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます