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August 0782010

 みんみんを仰げる人の背中かな

                           酒井土子

らしい夏がないまま立秋を迎えた昨年と違い、今年はいやというほど真夏を実感。まだまだ暑い東京だけれど、八月に入ってからは朝から空がすっきり青い。そこに、ほわっと軽そうな雲の群が静かに流れて行くのを、ここ数日夏期講習の合間に9階の教室の窓から眺めている。空から少しづつ秋へ動いているのかもしれない。勤め先のある千代田区は、みんみん蝉が目立って多い。同じ東京でも家の近くは、にいにい蝉と油蝉が主流。時に耳鳴りのようにべったり聞こえるそれらの蝉と違い、みんみん蝉は一匹が主張して鳴くので、蝉の声に立ち止まって思わず木を見上げる、というのもみんみん蝉だから。緑蔭に立つその人の背中を少し離れて見ている作者。そこに同じ郷愁が通い合っているようにも感じられる。『神送り』(1983)所収。(今井肖子)




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