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November 03112010

 一筋に生きてよき顔文化の日

                           小森白芒子

日は文化の日。明治天皇の誕生日であり、もともと「天長節」とされ、「明治節」と定められていたが、戦後になってから「文化の日」と改められた。「自由と平和を愛し、文化を進める日」とされる。自由も平和も文化立国も掛け声はともかく、ご存じの通り現状はきわめてお粗末というか困難が継続している。毎年恒例、新聞に大きく文化勲章受章者の記念写真が載るのを、私などはずっと遠い出来事として眺めてきた。今年の受章者は蜷川幸雄ら七名。昨年は桂米朝が受章者の一人だった。一昨年は古橋広之進や田辺聖子ら。それ以前には、受章を辞退したノーベル賞作家や大物女優がいた。もちろん勲章だけが文化の日ではない。かたちだけでなくて、魂の入った文化を育てないことには文化立国が泣く。さて、掲句。喜びを秘めた受勲者の記念写真を詠んだ句ととらえればムム彼らはみな「この道一筋」に生きてきた人たちであり、敬服に値するだろう。安っぽい笑顔ではなく、長年月培われてきた「よき顔」であるにちがいない。いや、叙勲とは関係なしととらえれば、さりげなく巷におられて、「この道一筋」に生きてきた職人とか、おじいさんやおばあさんのことを詠っているようにも思われる。本当はそうなのかもしれない。日頃は厳しいおじいちゃんの顔も、文化の日には特別輝いて「よき顔」に見えるのだろう。見る側の「よき心」だけが「よき顔」を発見できる。平井照敏編『新歳時記・秋』(1996)所収。(八木忠栄)




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