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January 0812013

 寒立馬雪横なぐり横なぐり

                           小圷健水

立馬(かんだちめ)は、青森県下北半島で放牧されている比較的小柄な馬である。南部馬を祖とした農耕馬で、気候と痩せた土地に順応する種として改良されてきた。「寒立」とは野生のカモシカなどが雪上を数日じっと動かぬ姿を呼ぶという。ずんぐりとした体躯に足元の安定した素朴な馬が、白い息のかたまりを吐きながら立つ群れはいかにも雄々しく、風土に適合している。しかし、どんなに厳寒のなかでも平気だと聞いても、寒風にたてがみをなぶらせ、たっぷりとしたまつげに雪を乗せている姿は、見るものに哀れを誘う。横なぐりの雪のなかで、身を隠す場所もなく、馬たちはひたすら立ち続け、春を待つのだ。同集には仔馬の姿も見られる。厳しい自然のなかの親子の情はひときわ熱く胸を打つ。〈風上の母に添ひゐる寒立馬 篠原 然〉、〈乳をのむ仔馬も雪にまみれをり 原田桂子〉「青林檎」(2012年冬号・19号)所載。(土肥あき子)




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