acA~句

June 0862013

 他人事のやうに首振る扇風機

                           大和田アルミ

供の頃、ありとあらゆる文字が人の顔に見えて不思議な気分になったことがある。昼、という字がペンギンに見えてしかたなかったこともあるが、これは形が似ているからか。いずれにしても、ひらがなが様々な表情でこちらを見ているような感覚は今でもどこかに残っているが、その感覚をふと思い出した。掲出句、扇風機が首を振る、というのは、自然に浮かぶ擬人だが、安易な擬人に終わっていないのは、他人事のやうに、という表現だ。他人事、もまた擬人と言えるのだが、人になぞらえているというのではなく、淡々と動く扇風機そのものから感じとっている作者なのだろう。「俳句 唐変木」(2009・5号)所載。(今井肖子)




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