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October 27102013

 月山の雲の犇めく芋煮会

                           後藤杜見子

北の秋は、芋煮会だと聞かされておりました。今月半ば、山形の映画祭に行く用事があり、初めて芋煮汁をいただきました。聞くと食べるのでは大違い。芋は里芋で、つるんと口から食道を通過し、一口大に切られたちぎりこんにゃくも同様、つるんと胃袋へ。味のしみ込んだごぼうとにんじんをもぐもぐ噛み、かつをとしいたけのだしの利いた温かいうす醤油味の汁をのみ込む所作を繰り返して、おかわりをいただきます。直径1m程の大きな鉄鍋で作っているので、いくらおかわりをしても大丈夫な大盤振る舞い。山形の人のよさ温かさを堪能しました。山に囲まれた盆地のせいか、雲はやや低くうす黒く濃い青空で、太平洋と日本海真ん中の山あいの気候でした。掲句、「月山の雲の犇(ひし)めく」中で作られる芋煮は、具も味も人々も多様な豊穣の秋です。『新日本大歳時記・秋』(講談社・1999)。(小笠原高志)




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