齡視

November 12112013

 合はす手の小さくずれて七五三

                           今瀬一博

年の七五三は11月15日だが、休日の都合もあり前後二週間ほど、要は11月中を目安に各地のお宮は賑わうようだ。「七つ前は神のうち」といわれ、なんとか七歳まで無事でいてくれれば、ようやくひと安心とされた時代の行事であるが、今も子どもの成長を祝う節目となって続いている。七歳までの通過儀礼として女児が三歳、男児が五歳の祝いをするが、掲句の柏手も覚束ない姿はもっとも幼い三歳を思う。言われるがまま合わせる手のわずかにずれている様子さえ、ほほえましく、その成長が胸に迫る。とはいえ、大人たちの熱い視線をよそに、当人にとってはなにがなにやら分からぬままに、着飾り連れ回されているように思っていることだろう。自分の三歳のときはどうであったかと振り返ると当然覚えているはずはないが、アルバムにはっきりと残されている。振り袖のまま近所の公園のぶらんこに乗って、母親が慌てて駆け寄る姿である。『誤差』(2013)所収。(土肥あき子)




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