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November 11112014

 下の子を抱き髪置の子を連れて

                           山内裕子

置(かみおき)の儀は、3歳となった男女児が11月15日に行う儀式。七五三の三に組み入れている地域もあるが、元来は別の行事である。儀式は頭に綿や白糸を白髪として乗せ、長寿を祈願する。7歳までに亡くなる子が多かった時代には、こまめに節目を用意することで、成長を喜び、神への感謝を捧げていた。医療が発達した現代でも、子の成長を願う親心から昔ながらの儀式を行う。しかし、幼い頃の兄弟、姉妹はたとえ二歳ほどの開きがあろうと、聞き分けのない赤ん坊が二人揃っているようなものだ。晴れ着の幼児と、すやすやと眠る赤ん坊、そして若い父母も美しく装う景色にたどりつくまでの、水面下の奮闘は想像にあまりある。掲句には並んで〈行き合はす人に祝はれ七五三〉が置かれる。はれの日に向けられるあたたかな視線もまた、どの時代にあっても健やかであれとの願いが込められる。『まだどこか』(2014)所収。(土肥あき子)




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