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May 0752015

 ハイヒール山に突き刺し夏に入る

                           加納綾子

休の高尾山は人出が多く山道も渋滞する。地方では考えられないことだが、混みあって前に進めぬ山道を初めて体験した。山道を行く人々は山歩きの服装が多いが、ロープウェイで来たのかミニスカートにハイヒールといった街歩きの格好をした女の子も時折見かける。一足ごとにハイヒールの高い踵が柔らかい赤土にめり込んで歩きにくそうだが、本人はまったく苦にしていない様子。満員電車のピンヒールは凶器に思えるが、ハイヒールの踵で突き刺される山もたまったもんじゃないだろう。自然に優しくない「突き刺す」という表現が怖いもの知らずの若さを表しているように思える。この果敢さで暑くてうっとうしい夏をある時はハイヒールで突き刺し、ある時は尖った爪先で蹴散らしてゆくことだろう。『関西俳句なう』(2015)所載。(三宅やよい)




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