高要句

May 2952015

 青鷺の常にまとへる暮色かな

                           飛高隆夫

鷺は渡りをしない留鳥なので何時でも目にする鳥である。東京上野の不忍池で観察した時は小さな堰に陣取り器用に口細(小魚)を抓んでいた。全長93センチにもなる日本で最も大きな鷺であり、餌の魚を求めてこうした湖沼や川の浅瀬を彷徨いじっと立ち尽くす。その姿には涼しさも感じるが、むしろ孤独な淋しさや暮色を滲ませているように感じられるのである。他にも<藤垂れて朝より眠き男かな><耳うときわれに妻告ぐ小鳥来と><よき日和烏瓜見に犬連れて>などが心に残った。「暮色」(2014)所収。(藤嶋 務)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます