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November 18112015

 秋地獄ぺらぺらまはる風車

                           井口時男

獄とはこの場合、下北半島の霊場恐山を指している。私も二回ほど訪ねたことがある。広い境内には賽の河原と呼ばれる、子ども供養の荒涼たる岩場がある。色とりどりの可愛い風車(かざぐるま)が風を受けて盛んにまわり、小石が積まれ、お菓子が供えられている。供花のかわりに、あちこちに差されたセルロイドの風車が「ぺらぺら」と、どこやらもの悲しく寂しい風情で秋風を受けてまわっているのである。「ぺらぺら」は儚く寂しい響きをこぼしている。ブルーの色鮮やかな宇曽利湖を背景にして、亜硫酸ガスで硫黄臭く、白い岩場が広がる光景が見えてくる。これはこれでこの世の地獄。境内にはひそやかな温泉小屋があって、寒々しさは拭いようがない。イタコによる口寄せも行われている。一度は訪ねてみたい霊場である。句集には「恐山五句」として、掲出句と「口寄せを盗み聴くときすすき揺れ」他がならぶ。文芸批評家の第一句集である。『天來の獨樂』(2015)所収。(八木忠栄)




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