5月1日(金) 春風の日本に源氏物語 5月2日(土) 旅にて今日八十八夜と言はれけり
5月3日(日) 青葉がちに見ゆる小村の幟かな 5月4日(月) 追憶のぜひもなきわれ春の鳥 5月5日(火) 草笛や子らの背丈をさだかには 5月6日(水) おそるべき君等の乳房夏来る 5月7日(木) 初夏だ初夏だ郵便夫にビールのませた 5月8日(金) 敷居越え豆腐のしづく初つばめ 5月9日(土) 反り合はぬ花のなきかに霞草
5月10日(日) 母の日の常のままなる夕餉かな 5月11日(月) 高根より礫うち見ん夏の海 5月12日(火) 押鮨の酢がややつよし帰国せり 5月13日(水) はつ夏の空からお嫁さんのピアノ 5月14日(木) あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ 5月15日(金) 月残す浅草の空まつり笛 5月16日(土) 二人してしづかに泉にごしけり
5月17日(日) 満塁や青芝遠く緊張す 5月18日(月) 木苺の種舌に旅はるかなり 5月19日(火) すき嫌ひなくて豆飯豆腐汁 5月20日(水) 水平ら安曇は空に田を植うる 5月21日(木) 青あらし神童のその後は知らず 5月22日(金) 初松魚燈が入りて胸しづまりぬ 5月23日(土) 麦の秋朝のパン昼の飯焦し
5月24日(日) 午後からは頭が悪く芥子の花 5月25日(月) 香水やまぬがれがたく老けたまひ 5月26日(火) 考へがあつての馬鹿を冷奴 5月27日(水) シャボン玉吹く東京の風にのせ 5月28日(木) 目つむりていても吾を統ぶ五月の鷹 5月29日(金) 紙魚ならば棲みても見たき一書あり 5月30日(土) 麥爛熟太陽は火の一輪車
5月31日(日) 海南風時給八百六拾円
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