2月1日(月) 叱られて目をつぶる猫春隣 2月2日(火) わが天使なりやをののく寒雀 2月3日(水) 硝子負ひ寒波の天を映しゆく 2月4日(木) 雨の中に立春大吉の光あり 2月5日(金) 受験期や多摩の畷の土けむり 2月6日(土) 水温み頁ふえたり週刊誌
2月7日(日) 春寒し水田の上の根なし雲 2月8日(月) 春空に鞠とゞまるは落つるとき 2月9日(火) 風花やまばたいて瞼思い出す 2月10日(水) ごみ箱のわきに炭切る余寒かな 2月11日(木) 雪の夜長き「武蔵」を終わりけり 2月12日(金) しら梅に明る夜ばかりとなりにけり 2月13日(土) 芹つみに国栖の処女等出んかな
2月14日(日) 辞すべしや即ち軒の梅を見る 2月15日(月) 雪降るとラジオが告げている酒場 2月16日(火) 道ばたに旧正月の人立てる 2月17日(水) 冬牡丹千鳥よ雪のほとゝぎす 2月18日(木) 落ちなむを葉にかかへたる椿かな 2月19日(金) しやがむとき女やさしき冬菫 2月20日(土) 鴬の身を逆にはつね哉
2月21日(日) 如月や日本の菓子の美しき 2月22日(月) 人妻に春の喇叭が遠く鳴る 2月23日(火) 東京の雪ををかしく観て篭る 2月24日(水) 春愁の中なる思ひ出し笑ひ 2月25日(木) 雨はじく傘過ぎゆけり草餅屋 2月26日(金) もの忘れするたび仰ぐ春の山 2月27日(土) 妻留守に集金多し茎立てる
2月28日(日) 尾の切れし凧のごとくに二月終ふ
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