1月1日(金) 夜番の柝ひとの年譜の三十路の頃 1月2日(土) ラグビーの審判小さく小さく立つ
1月3日(日) 只の年またくるそれでよかりけり 1月4日(月) 獅子頭ぬぎてはにかむ美青年 1月5日(火) セーターに猫の毛付けしまま帰す 1月6日(水) 松の内妻と遊んでしまひけり 1月7日(木) 生きてゐる仕事始めの静電気 1月8日(金) 冬灯金芝河の妻のまろき額 1月9日(土) 味噌たれてくる大根の厚みかな
1月10日(日) 歌留多会廊下の冷えてゐたりけり 1月11日(月) 無造作に借りて巧みに羽根をつく 1月12日(火) 建付けのそこここ軋む寒さかな 1月13日(水) 手を打つて死神笑ふ河豚汁 1月14日(木) 屋根のびてきて屋根の雪落ちにけり 1月15日(金) 蓮田出る脚こんなにも長きこと 1月16日(土) 風花のかかりてあをき目刺買ふ
1月17日(日) 冬の虹貧しき町を吊り上げる 1月18日(月) 木葉髪馬鹿は死ななきや直らねえ 1月19日(火) 松活けて御前がかりの土俵入 1月20日(水) どの墓も××家とある寒さかな 1月21日(木) 着ぶくれて動物園へ泣きに行く 1月22日(金) 冬服や鏨のいろの坂に入る 1月23日(土) ガラス戸の遠き夜火事に触れにけり
1月24日(日) 武蔵野の雪ころばしか富士の山 1月25日(月) 年老いて火を焚いてをるひとりかな 1月26日(火) 雪だるま手足出さうな日和なり 1月27日(水) 大雪となりて果てたる楽屋口 1月28日(木) 障子閉めて沖にさびしい鯨たち 1月29日(金) 降り切つて雪のあけぼのおのづから 1月30日(土) 一筋の髪が手に落ち春隣
1月31日(日) 雪の夜の紅茶の色を愛しけり
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