1月1日(日) 元日の玄関にある笑ひ声 1月2日(月) 読初は久方ぶりのトルストイ 1月3日(火) どの星も棘あるごとし寒波来る 1月4日(水) らちもなき御用始めの訓辞かな 1月5日(木) 声のして達磨の中の達磨売 1月6日(金) 先生も校舎も好きだ定時制 1月7日(土) 生きている人がたくさん初詣
1月8日(日) 新年会すし屋の細き階のぼる 1月9日(月) 猿が岩を叩いてやまず「春よ来い」 1月10日(火) 落涙に頁のちぢむ寒昴 1月11日(水) 年はじめなほしかすがに耄(ぼ)けもせで 1月12日(木) 灯らぬ家は寒月に浮くそこへ帰る 1月13日(金) 父よりも好きな叔父来て落葉焚き 1月14日(土) 智慧の糸もつるゝ勿かれ大試験
1月15日(日) 冬雲は静に移り街の音 1月16日(月) ひとつふたつ持ち寄る憂ひ毛糸編む 1月17日(火) 裸木よなきがらよりはあたたかし 1月18日(水) 冬の海吐き出す顎のごときもの 1月19日(木) 鳩であることもたいへん雪催 1月20日(金) 空井戸に夜をしづめて冬深し 1月21日(土) 頬杖の風邪かしら淋しいだけかしら
1月22日(日) 春待つや空美しき国に来て 1月23日(月) 巻いてもらふ長マフラーの軸となり 1月24日(火) いつまでも猟犬のゐる柩かな 1月25日(水) 雪降れば佃はふるき江戸の島 1月26日(木) 用水路に余り温泉(ゆ)流れ雪催 1月27日(金) 今生に子は無し覗く寒牡丹 1月28日(土) いつさいの音のはてなり雪ふるおと
1月29日(日) 分針は太き泪となる日暮 1月30日(月) 袋綴ぢのヌード踏まるる春霙 1月31日(火) 胴に鰭寄せて寒鯉動かざる
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