前の月のページ 1月1日（火）　火を焚けば太古のこころ初日待つ 1月2日（水）　沖かけて波一つなき二日かな 1月3日（木）　ひろげれば版の香りや絵双六 1月4日（金）　段雲を冬月登る坂登る 1月5日（土）　初旅やいのちの峠越えて海 1月6日（日）　汝の年酒一升一升又一升 1月7日（月）　不機嫌に樫の突つ立つ七日かな 1月8日（火）　寒立馬雪横なぐり横なぐり 1月9日（水）　日の暮れて羽子板をはむ犬のあり 1月10日（木）　目が見えて耳が聞こえて冬の森 1月11日（金）　寒燈の一隅を占め塑像の掌 1月12日（土）　大空に月ぶら下がり雲凍てぬ 1月13日（日）　立膝の妻の爪切る女正月 1月14日（月）　華美ひと色に成人式の子女あはれ 1月15日（火）　一つ足し影の枝垂るる繭飾り 1月16日（水）　阿武隈や朝靄に溶く白き息 1月17日（木）　いくたびも名を呼び冬の星増やす 1月18日（金）　かなしめば妻はこもれり冬灯の環 1月19日（土）　雪催木桶二つに水張られ 1月20日（日）　九十年生きし春着の裾捌き 1月21日（月）　ちちははもおとうとも亡しのつぺ汁 1月22日（火）　雪景色女を岸と思ひをり 1月23日（水）　冬凪や鉄塊として貨車憩ふ 1月24日（木）　その息の白いたましひつぽいかたち 1月25日（金）　冬並木袴の黒を触れ帰る 1月26日（土）　一枚の葉書が刺さり冬館 1月27日（日）　一禽の影も許さじ結氷湖 1月28日（月）　寒天を震るわせている大太鼓 1月29日（火）　パイプオルガン冬の木立のやうに 1月30日（水）　一月の死へ垂直な独楽の芯 1月31日（木）　グリム読む天井に出し雪の染み この月のすべての句 次の月のページ 『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます。