6月1日(月) バス停の屋根は南瓜の花盛り 6月2日(火) 芍薬の蕾のどれも明日ひらく 6月3日(水) 青嵐父は歯を剝き鎌を研ぐ 6月4日(木) 約束はただのあじさいだったのに 6月5日(金) 万緑やいのちは水の匂いして 6月6日(土) 口癖は太く短くビール干す
6月7日(日) 高原の空は一壁水すまし 6月8日(月) 涼風の一楽章を眠りたり 6月9日(火) 踏石の歩巾に合はぬ夕薄暑 6月10日(水) 飛魚や隠岐へ隠岐へと海の風 6月11日(木) ぎりぎりの傘のかたちや折れに折れ 6月12日(金) 翼あるものみな飛べり夏の夕 6月13日(土) 入梅を告ぐオムレツの黄なる朝
6月13日(土) 入梅を告ぐオムレツの黄なる朝
6月14日(日) 神にませばまこと美はし那智の滝 6月15日(月) 百姓の朝のたばこや蓮開く 6月16日(火) 時鳥きよきよつと嗤ふ誤植文字 6月17日(水) 万緑に入れば万緑の面構え 6月18日(木) はんなりととろろあふひをかきわけて 6月19日(金) 海鵜憂し光まみれであるがゆえ 6月20日(土) あかるさや蝸牛かたくかたくねむる
6月21日(日) 影を出ておどろきやすき蟻となる 6月22日(月) 同じ女がいろんな水着を着るチラシ 6月23日(火) 夏至の日を機械の手入れして終わる 6月24日(水) 母恋ひの舳倉(へくら)は遠く梅雨に入る 6月25日(木) 飲み干して重くなりたるビアジョッキ 6月26日(金) 青葉木莵沼に伝説ありにけり 6月27日(土) 茄子漬の色移りたる卵焼
6月28日(日) この街に生くべく日傘購ひにけり 6月29日(月) 僕が訛って冷し中華を食う獏なり 6月30日(火) 形代のたぶん男の沈みをり
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