予感


落ちてきた予感が 濁った水たまりの前で止まる その時大きなあくびをしたやつ 交番の前で お父さん お母さんを 殺さないようにしましょう と叫んで 病院に入れられた 白い壁の中で 白いパンをかじりながら そいつは手紙を書く 私の夫は商社マン 妻は馬のおなかにしがみつき 息子は切りとられて 鳥かごに放りこまれた 窓から紙飛行機が 次々に墜落する その時ビルの壁で クーラーのファンが一斉に回り始めた 小さな肉片が一つ躍った


(C) Copyright, 1995 NAGAO, Takahiro
|ホームページ||詩|
|前頁(病死)||次頁(素朴な感情)|
PDFPDF版
PDF実物スキャンPDF