神々の家



緩やかな丘を、 上ったり、 下りたり、 しながら、 歩いていくと、 人々の家に交じって、 小さな神々の家、 がある。 ほかの場所より、 ちょっとだけ空に近いとか、 水がちょろちょろ、 湧き出しているとか、 ほかの木より、 ちょっとだけ古い木が立っているとか、 たったそれだけの理由で、 そこに、 神を見つけ出した人々は、 その神に、 何を、 祈ったのだろうか。 車で走れば、 小さな神どころか、 坂があることさえ、 気が付かないけれど。 無神論なんて、 雨が降っても、 雨が降らなくても、 三度三度の食事を、 腹いっぱい食べて、 食べ残しまで作ることが、 人として当然の、 権利だと思っていられる人間の、 ぜいたく、 なのかもしれない。


(C) Copyright, 2003 NAGAO, Takahiro
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