子供を見ているとひょんなことを思い出すものである。 子供の頃の私のなかには、 みんたかとかつんたかとかじゃあたかといった連中が住んでいて、 あたりが静かになると、 もぞもぞと動き出して、 芝居のようなことをするのである。 そのみんたかとかつんたかとかじゃあたかは、 それぞれきゃらくたあというものを持っていて、 よく出てくるやつもいれば、 めったに出番のないやつもいる。 (よく出てくるからといってそいつが好きだとは限らないのだ) 話の内容やそいつらがどんなやつだったかは忘れてしまった。 いずれ眠って夢でも見ていたのだろう。 覚えているのは、 騒がしかった雰囲気と名前の一部だけ。 いつの間にか一人も出てこなくなって、 そんなやつらがいたことさえ忘れていた。 それにしても、 その芝居を見ていた私は誰だったのだろう。 今ごろそんなことを思い出す私も。