人の身体のなかには、 目に見えない小さな人々が、 無数に住みついている、 という話を聞いたことがある。 それら小さな人々は、 大きな人のなかにいることを知らず、 自分は独立した人格である、 などと言っていて、 互いに仲がよろしくない。 挙句の果てには、 二手に分かれ、 派手な戦争をやらかして、 大きな人を死なせてしまう。 もちろん、 そのときには、 小さな人々もみな滅びてしまうのだが、 大きな人にとっては迷惑な話である。 思い当たることはあった。 手足の動きが、 思いとは裏腹に、 左右に少しずつ、 ずれるのだ。 身体のなかに、 新しい意思が、 宿りつつあるらしい、 そう気付いたときに、 遠くから、 微かな、 声が、 聞こえた、 ような気がする。 ジャスティス、ジャスティス……