緩やかな丘を、 上ったり、 下りたり、 しながら、 歩いていくと、 人々の家に交じって、 小さな神々の家、 がある。 ほかの場所より、 ちょっとだけ空に近いとか、 水がちょろちょろ、 湧き出しているとか、 ほかの木より、 ちょっとだけ古い木が立っているとか、 たったそれだけの理由で、 そこに、 神を見つけ出した人々は、 その神に、 何を、 祈ったのだろうか。 車で走れば、 小さな神どころか、 坂があることさえ、 気が付かないけれど。 無神論なんて、 雨が降っても、 雨が降らなくても、 三度三度の食事を、 腹いっぱい食べて、 食べ残しまで作ることが、 人として当然の、 権利だと思っていられる人間の、 ぜいたく、 なのかもしれない。