ここに集めたものは、二〇〇七年一〇月から二〇一〇年末までに書いた。二〇〇七年一〇月は、私の個人的な環境がちょっと変わった時期で、倉田良成さんの『tab』誌に誘っていただいた時期でもある。二〇一〇年末には何もないが、次に書いたのは二〇一一年三月一一日のあとだった。読み返してみると、震災と原発事故よりも前の日々は遠い昔の思い出のような感じがするとともに、細部についてはもう忘れてしまって自分でもよくわからないところがあるが、まったく違う自分がいたわけでもないという感じもする。いずれにしても、今とはちょっと気分が違うので言い訳めいたことを書いた。『tab』という発表の場をくださった倉田さんには感謝しています。
二〇一一年六月 長尾高弘