君が吊るされた樹の下で 指先から神経を垂らして 僕は虫を見ている てんとうむし かぶとむし たまむし かみきりむし こがねむし 僕に見られた虫は動かない 僕はそれらの虫を拾い上げる 神経で幾重にも縛り 一つずつ丁寧に地面に並べて 君の絵をかく 僕の額にふきだした汗は ぽたりぽたりと落ちて 地面にしみこみ 絵の中の君に陰影を与えるだろう そして虫の出す油によって 絵の中の君は光り輝く いずれ絵の中の君は あとかたもなくなる その頃には 吊るされた君の体に 無数の花が咲くだろう