私の ゆらゆら揺れて 崩れて流れそうな風景の虚像は 噛めば噛む程 白く ぐにゃぐにゃと粘着してのび 顎骨を抱きこみ締めつけるが 噛むことは決してやめてはならない それは口からはみ出して まず両眼をつぶしにかかり 頬にも首にも乳首にもへばりつき 瞬く間に田虫のように全身にひろがって 大きく波うつ そして白いのっぺらぼうの団子になった 私はじっとしていることは許されず 穴だらけの地面を 頼りなげによろよろと転がり やがて鈍い音を残して なくなる