ハトがたくさん飛んでいて、 糞がべったりついているような街でも、 ハトの死骸は見かけない。 ハトはどこで死ぬのだろうか。 飼い犬が庭でハトをつかまえたことがあった。 運動不足の犬につかまるなんてどうかしている。 このまま犬がハトを殺したらいやだなと思ったので、 割って入ってハトを救い出した。 ハトは羽と腿のところに怪我をしていた。 しかし、病院に連れて行ってやるほど、 こちらは善人ではなかった。 隣の空き地に捨てるように放した。 怪我をしているハトは飛べなくて、 地面の上にじっと立っていた。 数時間後、ふと思い出して隣の空き地を見たら、 ハトはいなくなっていた。 あのハトはどこへ行ったのだろうか。 ハトの目をじっと見ていると、 ハトの目がどこを見ているのかは、 よくわからない、 ということがわかる。